無くそう、誹謗中傷。

誹謗中傷は犯罪です。しかしなくならない。その原因と解決策を裁判所の判例も交えて考えていきます。

個人でもできる誹謗中傷の"予防"と"通報"方法

皆さんこんにちは。

このサイトは拡散されればされるほど、誹謗中傷が減っていくことを目指して日々執筆を行っています。

その最たる原理が誹謗中傷の抑止力の作り方を普及することにあるためです。

今回は、個人レベルでも実践可能な、誹謗中傷対策について、実例を参考に考えてみましょう。

というのも、企業や事務所に所属している場合、大抵は事務所が誹謗中傷対策を行っていますが、個人で活動している場合、誹謗中傷に対して、無防備になっていることが多いのです。

事務所所属という状態がいわばウイルスバスターみたいなもので、それがない個人勢は、極めて脆弱性が高い状態にあると言っても過言ではありません。

今回のゴールは誹謗中傷の抑止と早期解決ですが、誹謗中傷の被害者になった時にとる具体的な行動は、ほとんどがTwitter掲示板に対する開示請求と加害者への損害賠償請求になります。

総務省で公開している開示請求についてのガイドラインを先に読んでおくことで、今回の話題の理解が簡単になると思いますので、流し読みでも良いので一読してみてください。

総務省|インターネット上の違法・有害情報に対する対応(プロバイダ責任制限法)(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/ihoyugai.html)

総務省|インターネット上の違法・有害情報に対する対応(プロバイダ責任制限法)|プロバイダ責任制限法Q&A(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/ihoyugai_04.html)

 

-----目次-----

--------------

実際の裁判

発信者情報開示請求控訴事件|裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan(https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=91469)

www.courts.go.jp

 

裁判要旨

(全文PDFより)

本件は、氏名不詳者(本件投稿者1及び2)により、ツイッター(インターネットを利用してツイートと呼ばれるメッセージ等を投稿することができる情報サービス)上に、別紙投稿記事目録1及び2記載の記事(原判決別紙投稿画像目録記載の画像を含む。)が投稿されたことにより、原判決別紙被控訴人イラスト目録記載の各イラストに係る被控訴人の著作権及び著作者人格権並びに被控訴人の名誉権及び営業権が侵害されたことが明らかであると主張して、被控訴人が、ツイッターを運営する控訴人に対し、令和3年法律第27号による改正前の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき、別紙発信者情報目録記載の情報の開示を請求する事案である。

原判決は、①別紙発信者情報目録記載1及び2の情報のうち、令和2年4月3日午前零時(日本標準時)以降のもので、別紙投稿記事目録記載の各投稿がされた時以前のログインのうち最も新しいもののIPアドレス並びに同IPアドレスが割り当てられた電気通信設備から控訴人の用いる特定電気通信設備に上記ログインに関する情報が送信された年月日及び時刻、並びに②別紙投稿記事目録1のユーザー名欄記載のアカウントの管理者の電話番号及び別紙投稿記事目録2のユーザー名欄記載のアカウントの管理者の電子メールアドレスの開示を求める限度で被控訴人の請求を認め、その余の請求をいずれも棄却した。

控訴人が、原判決における敗訴部分について不服があるとして、控訴を提起した。 

 

裁判で提出された証拠ツイート

裁判で提出された実際のツイート

 

関連する法律のおさらい

平成十三年法律第百三十七号

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法

第一章 総則

(趣旨)

第一条 この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利について定めるとともに、発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 特定電気通信 不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号及び第五条第三項において同じ。)の送信(公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を除く。)をいう。
 特定電気通信設備 特定電気通信の用に供される電気通信設備電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。第五条第二項において同じ。)をいう。
 特定電気通信役務提供者 特定電気通信役務(特定電気通信設備を用いて提供する電気通信役務電気通信事業法第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。第五条第二項において同じ。)をいう。同条第三項において同じ。)を提供する者をいう。
 発信者 特定電気通信役務提供者の用いる特定電気通信設備の記録媒体(当該記録媒体に記録された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を記録し、又は当該特定電気通信設備の送信装置(当該送信装置に入力された情報が不特定の者に送信されるものに限る。)に情報を入力した者をいう。
 侵害情報 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が当該権利を侵害したとする情報をいう。
 発信者情報 氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。
 開示関係役務提供者 第五条第一項に規定する特定電気通信役務提供者及び同条第二項に規定する関連電気通信役務提供者をいう。
 発信者情報開示命令 第八条の規定による命令をいう。
 発信者情報開示命令事件 発信者情報開示命令の申立てに係る事件をいう。
〜中略〜
第三章 発信者情報の開示請求等

(発信者情報の開示請求)

第五条 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対し、当該特定電気通信役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報のうち、特定発信者情報(発信者情報であって専ら侵害関連通信に係るものとして総務省令で定めるものをいう。以下この項及び第十五条第二項において同じ。)以外の発信者情報については第一号及び第二号のいずれにも該当するとき、特定発信者情報については次の各号のいずれにも該当するときは、それぞれその開示を請求することができる。
 当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
 次のイからハまでのいずれかに該当するとき。
 当該特定電気通信役務提供者が当該権利の侵害に係る特定発信者情報以外の発信者情報を保有していないと認めるとき。
 当該特定電気通信役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る特定発信者情報以外の発信者情報が次に掲げる発信者情報以外の発信者情報であって総務省令で定めるもののみであると認めるとき。
(1) 当該開示の請求に係る侵害情報の発信者の氏名及び住所
(2) 当該権利の侵害に係る他の開示関係役務提供者を特定するために用いることができる発信者情報
 当該開示の請求をする者がこの項の規定により開示を受けた発信者情報(特定発信者情報を除く。)によっては当該開示の請求に係る侵害情報の発信者を特定することができないと認めるとき。
〜中略〜
第十八条 この法律に定めるもののほか、発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
〜附則省略〜

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 | e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413AC0000000137)より引用

 

法律の解説

開示請求できる条件って何?

第四条一項を判例のケースに訳すと

e-govでは第五条一項とありますが、正確には第四条一項です。(どこかでズレているっぽい。)

難しい表現や、用語が沢山ある難解な条文なので、今回引き合いに出した判例をベースに、私の方で条文を日常会話っぽく訳してみました。

ちなみに、特定発信者情報と言う時は、そのSNSサービスを利用した際に残るログイン情報とかアカウント情報のことです。

単に発信者情報と言う時は、総務省令で言う、氏名、住所、電話番号、電子メールアドレス、IPアドレスなど、私たちが日頃よく使う個人情報のことを指します。

これらを総称して、個人を特定するに資すると表現されています。

多少強引に訳しているので、例外のパターンはあるかもしれませんが、法令の理解には役に立つはずです。

 

第三章 アンチの個人情報が知りたいとき等
(アンチの個人情報が知りたいとき)

第五条 アンチによるツイートの送信と拡散によって誹謗中傷を受けた人は、Twitterのサーバーを持っているTwitter社に対して、

「アンチの本名と住所、電話番号とかメールアドレスとかIPアドレスを見せろ!」

と言うことが出来ます。

ただし、条件があります。

アンチの本名や住所みたいな情報は、次の一、二のどっちにも当てはまるときに開示請求できます。

三には当てはまらなくても大丈夫です。

逆に、アンチのログイン情報とか、どうやってアカウントを作ったのかみたいな情報は、次の一、二、三の全部に当てはまるときじゃないとだめです。

 

 アンチによるツイートによって、誹謗中傷被害を受けたことが明らかであるとき。

 アンチの個人情報が損害賠償を請求するために必要である場合や、その他の、アンチの個人情報の開示をすべき正当な理由があるとき。

 次のイからハまでのいずれかに当てはまるとき。

 Twitter社のサーバーの中にしかアンチの個人情報が保存されていないとき。auでもソフトバンクでもなんでもいいけど、通信回線業者のプロバイダに個人情報が残っているなら、そっちを調べてください。

 Twitter社が保有するアンチのアカウント情報に(1)(2)以外で、総務省令で定める個人情報があるとき。

(1) ツイートを発信したアンチの氏名と住所

(2) Googleアカウントとか、Facebookのアカウントとか、別なサービスと連携しているなら、アンチが使っているそのサービスの情報。

 本名とか住所みたいな個人情報を開示して調べてみたんだけど、蓋を開けたらなんにも書かれてなくて、具体的にどこの誰なのかよくわかんなかったとき。

 

今回のケースでカンタンにまとめると、以下のようになります。

  1. Twitterにいるアンチのツイートで心が傷つきました。
  2. だから損害賠償を請求したいんだけど、相手がどこの誰だかわかりません。
  3. なので、Twitter社さん。アンチの本名とか住所を開示してください。登録されてなかったら、電話番号とか、メールアドレスとか、IPアドレスみたいなもっと他の情報も見せてください。
  4. ちなみに、フレッツ光とかau光とか、ソフトバンク光みたいな通信回線のサーバーにはデータが残ってなくて、Twitter社さんにしかアンチの個人情報が残ってないみたいなので、アンチのアカウントの色々な情報をもっと開示してください。

4項目でまとめるとこういう感じの条文です。

特に氏名、住所、電話番号、メールアドレス、IPアドレスをはじめとした発信者情報はかなり開示のハードルが低いことがお分かりいただけると思います。

さらにポイントとなっているのは、SNSアカウントに結びついた加害者のログイン情報を開示できる点です。

例えばTwitterを利用するためには、メールアドレスや電話番号でアカウント作成すると思います。

加害者がこのアカウントをどんな個人情報を使って作ったのかを確実に知るための法律なんですね。

なので、いざ開示請求すれば、簡単にどこの誰か分かるのです。

今回はTwitterを例に出しましたが、原理原則はYouTubeでもTikTokでも、掲示板でも同じです。

 

 

現状の誹謗中傷対策の重大な問題点

被害者が自ら証拠集めをしなければならない

ここまでで、誹謗中傷を受けた場合の法令上の開示請求のルールについて紹介しました。

ただ、現在の制度や法律に則して誹謗中傷に対応しようと思うとき、重大な問題点が一つあります。

それは、被害者が自分で証拠を集めなければ、開示請求も損害賠償請求もできないことです。

ただでさえ誹謗中傷で精神的苦痛を受けている状態で、さらに、その証拠を集めるために、自分の手足を動かさないといけないのです。

場合によってはエゴサーチをしたり、アンチの巣窟になっているWebページを閲覧する必要があります。

当然、自身に関するものすごくネガティブなコメントを見つける可能性が高くなり、証拠を集める段階でさらに精神的苦痛を受けることになります。

そうしてでも証拠を集めないと裁判すら起こせないのが、この国の本当に悪いところだと思います。

 

開示請求をする裁判「民事」と、損害賠償請求をする裁判「刑事」は別もの

これ、よくごちゃごちゃになる話なので最後まで見てください。

開示請求のための裁判は、「民事」です。

この民事裁判に勝つことで、初めて加害者の個人情報が判ります。

ここまででだいぶ長い道のりになることが多いのですが、まだ、犯人が分かっただけなんですね。

そして、ここからようやく「刑法230条1項,刑法230条の2第1項」に基づいて名誉棄損罪で加害者を訴える裁判が始まります。刑法 | e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=140AC0000000045)

両方いっぺんに行われているわけではないんですね。

これ、別々に裁判が行われているので、調べてみると専任の弁護士が変わったり、費用が二重三重になったりすることもあるそうです。

被害を受けているのは被害者なのに、被害者ばかりがたくさん弁護士費用や裁判費用を払うことになることもあるんですね。

いい加減、法改正しませんか?と言いたいところです。

 

対抗手段は「みんなで解決する」が合言葉

現状のルールに則せば裁判は被害者が起こすしかありません。

弁護士費用も、裁判費用も被害者が負担することになるかもしれません。

しかし、証拠集めは必ずしも自分一人で行う必要はありません

仲間の手を借りることでも証拠を収集することは可能です。

ここからは、大手芸能事務所の取り組みから、「誹謗中傷の加害者情報を通報によって収集する方法」を考えていきましょう

 

大手事務所の対応策の紹介

大手芸能事務所の中から今回は

  • 実写タレント・アーティストの在籍する事務所
  • バーチャルタレントが在籍する事務所

このそれぞれを見ていきましょう。

 

FORM JAPAN | フォルムジャパン

FORM JAPANでは事務所として誹謗中傷対策を行う旨を公表しています。

リンクに掲載されているとおり、タレントに対して誹謗中傷があった際は、プロバイダ責任制限法をもとに、開示請求、損害賠償請求を行うことを公表することで、一定の抑止力となっているようです。

弊社所属タレント・アーティストに対する誹謗中傷に対する取り組みについて | 名古屋 芸能プロダクション | FORM JAPAN フォルムジャパン | (http://www.form-japan.com/2020/06/1094/)

www.form-japan.com

 

にじさんじ(ANYCOLOR Inc.)

大手VTuber事務所ANYCOLOR Inc.が運営するにじさんじというグループがあります。

ここでは、にじさんじの運営母体であるANYCOLOR社で、所属VTuberへの誹謗中傷対策のためのチームが組まれています。

具体的な取り組みとしては前述のFORM JAPANと同様に誹謗中傷に対しては開示請求、損害賠償請求を行うとしています。

ANYCOLOR社ではそれに伴い、誹謗中傷の証拠を収集するために、視聴者から情報収集を行うための専用プラットフォームを用意しています。

具体的な通報方法も記載されているので、いろいろな誹謗中傷対策として応用ができそうです。

攻撃的行為または誹謗中傷行為に関する通報 | ANYCOLOR株式会社(ANYCOLOR Inc.)(https://www.anycolor.co.jp/report)

 

www.anycolor.co.jp

 

個人でもできる誹謗中傷予防と通報方法

上記の事務所の取組にならい、個人でも誹謗中傷の通報システムを用意し、視聴者から情報を募る仕組みを作っておくことは、問題解決の早道になります。

効果はそれだけではありません。

このシステムがあるということが広く知られているならば、誹謗中傷の加害者に対してこう忠告することができます。

「お前のことをみんなが見てるからな?」

このような暗黙のメッセージが事前に伝われば、誹謗中傷の加害者は、もしかしたら自分の書き込みを通報する人がいるかもしれないと躊躇するかもしれません。

たとえ、ターゲットが普段見なさそうなサイトで誹謗中傷の書き込みをしようとしても、三者による通報のリスクが頭によぎれば、それが誹謗中傷の抑止力になる可能性は大いにあります。

それでも書き込んでしまう人も中にはいるかもしれませんが、通報システムを事前に周知している前提なら、被害を受けた際に周りの人が解決に向けて動いてくれるようになります。

少なくとも誹謗中傷の対応をたったの一人でやらなければならないといった不安感や心細さは薄まるのではないでしょうか?

 

実践に向けて利用できそうなサービス

さて、ここからは実際のサービスを例に、どのようにシステムを作っていくか、考えてみましょう。

以下の3つの方法は個別に使用することももちろんできますし、複合的に使うこともできます。特に、周知・広報能力の高いWiXに通報用のGoogleフォームを設置することで、Google検索からのアクセスも簡単になります

ご自身の環境に合わせて組み合わせてみるとよいでしょう。

 

通報用メールアドレス

料金:無料で取得できるものもある

手軽さ:高

周知力:低

導入が最も簡単な方法の一つは、通報を受け取るための専用のメールアドレスを用意することです。

メールアドレス取得にかかる時間は短ければ5分程度ですし、入力する情報も名前や電話番号程度のものが多いので、手軽に取得が可能です。

取得したメールアドレス宛に、誹謗中傷の証拠となるスクリーンショットや加害者情報を送ってもらうことで、情報収集ができます。

Googleのメールアドレスを新規に取得すれば、後述のGoogleフォームも無料で使うことができます。

添付ファイルとして画像や軽めの動画を一緒に送ることができます。

SNSサービスのDM(ダイレクトメッセージ)で通報を受け取ることと比べると、若干手軽さは低いですが、情報がひとつのプラットフォームに集中することを防ぎ、正確な送受信日時を把握するうえでも証拠能力が高い方法といえます。

また、もらった通報の内容から情報を整理するときに、メールボックス内の検索機能や、ラベル分け機能を使うことができるので、加害者ごとの情報に大別し、誰からどんな被害を受けたのか整理することもできます。

欠点としては、ユーザーがどこに通報すればよいのか探すときに、「このメールアドレスに送ってください」という情報がなかなか周知されずらい点が挙げられます。

その場合は下記の方法も織り交ぜて対応してみるとよいでしょう。

 

Googleフォーム

料金:無料

手軽さ:中

周知力:中

Googleフォームは、Googleのメールアドレスを取得していれば誰でも利用可能なクラウドサービスです。

難しい設定なしで、お問い合わせフォームのような簡易的な入力フォームを作ることができるのが最大の特徴です。

フォームの設定を変えれば画像や動画の送信も可能なので、より多角的な情報を受け取ることが可能です。

また、メールアドレス単体では送信が難しい、重めの動画ファイルも、Googleフォームからであれば1回あたりの送信で送付可能なファイルサイズが大きいので、動画ファイルの送受信にも有効と考えられます。(ただし、受け取った動画はGoogleドライブに保存されるため、実質は受け取れるデータ量が15GB程度と上限があるので注意してください。)

ちなみに、本サイトで試しにフォームを制作してみました。

ANYCOLOR社の取り組みを参考にフォームを組んでいるので、ぜひ、個人での通報フォームの制作に役立てていただけると幸いです。

誹謗中傷に関する通報フォーム(https://forms.gle/LL93PoMPmrodrjXG6)

forms.gle

 

WIX

料金:無料で取得できる(一部機能は有料)

手軽さ:低

周知力:高

Wix.com(ウィックス)は、世界で1億人以上が利用するドラッグ&ドロップのホームページ作成ツールです。

基本的には誰でも無料で利用でき、SEO対策もWiXのサイト内でできるので、コンテンツの周知力が高いことが特徴です。

関連サイトへのリンクや連絡先としてメールアドレスを登録できるので、誹謗中傷の情報を通報してもらう宛先として利用することもできそうです。

ただし、実際に利用可能にするために様々な設定をしなければなりません

誹謗中傷を受けている真っ最中だったり、精神的に弱っている局面でこれらの設定を行うのは正直しんどいと思います。

転ばぬ先の杖として、平常時に事前に作っておくとよいかと思います

 

通報システムの副次的効果

「ファンネル」させないことでファンを守る

「ファンネル」とは、元ネタは機動戦士ガンダムシリーズに登場する遠隔射撃武器のことを指します。

使用者の意思によって動き、本人に代わって相手を攻撃する性質があることから、転じて、活動者のファンが、アンチに対してSNS上で反論するなどの行為として使われることがあります。

この行為は一見すると問題解決のためにたくさんの人が働きかけているように見えます。

しかし、残念ながら中傷合戦に発展してしまうケースが非常に多く、場合によっては、その活動者の周りの民度が低いなどのレッテルを貼られてしまうこともあります。

そうならないためにも、誹謗中傷を受けた場合、活動者は、ファンに対して、

「むやみに反論はせず、誹謗中傷の証拠集めを手伝って欲しい」

と伝えましょう。

そして、前述の通報手段を使い活動者とファンで連携し、問題解決のために証拠集めを行いましょう。

そうすることで活動者は、対外的な二次被害を出さないだけでなく、ファンとの一体感を損なうことなく素早く問題を解決することができます。

 

まとめ

ネット上の書き込みに対して開示請求を行うための法律やそれにかかる実際の裁判を紹介しました。

また、個人で配信者、YouTuber、ないしはVTuberをしている場合にも有効と考えられる、誹謗中傷の予防と通報手段について、大手事務所の取り組みを参考に紹介しました。

いかがでしたか?

よく、人の目が多い地域では犯罪発生率が低いというデータを目にすることがあるかと思います。

これについては同じことがネット上でも言えます。

悪い書き込みをしている人がいないか見ている人がいる、という空気感があるだけで、誹謗中傷の書き込み発生率はぐっと変わります。

多くの人に今回紹介した対策法を実践していだけると、それだけ相対的に誹謗中傷の予防を強固にすることができます。

今回の記事が社会的に強い誹謗中傷予防の一助となれば幸いです。

 

それでは今回はこの辺で。

また次回の投稿でお会いしましょう。